前回以降の報告
■ テスト出力から原型用モデルの実出力へ
前回までに、これまで出力テストを行ってきた『D7』3Dプリンターの持っている課題と対策がはっきりし、紫外線硬化樹脂の使い分けもほぼ定まりましたので、製品用の原型の出力を開始し、あわせて『ポリススピナー』のバランス確認用モデルの出力を行いました。
■ ビルドプレートに直に出力する方法を模索
いままでのテスト出力でビルドプレート(出力板)側のモールドは不必要なレジンの硬化が起きてしまいでこぼこした出力となるため、モデルの底部を平滑にしたい場合、ビルドプレートに直接出力するというアイディアが当然のように浮かんできます。この方法は、すでにモデルの最下部が圧縮されたような出力になってしまうという問題があることが分かっていましたが、粘性を下げたレジンで露光時間を長く取った際のモデルでは圧縮が起きていなかったケースがあり、このモデル底部の圧縮を起こしている設定はなんなのだろう?とテスト出力を6回ほど行いました。
■ 底部圧縮が起きない露光長さ設定がある可能性
さまざな設定値を変えながら出力テストを行ったところ、露光時間が短いほど(8000ミリセカンド・8秒など)底部圧縮が大きくなり、露光時間を40000ミリセカンド(40秒)にした場合、モデル底部の寸法がやや増加するというテスト結果が得られました。ということは、主に試してきた露光時間10000ミリセカンドと試しに行ってみた40000ミリセカンドのどこかに、圧縮も増大も起きないポイントがあるということになります。これを検証するには、適切な形状のモデルで最低露光時間から始まり40000ミリセカンドまでの間でいくつものモデルを出力して、その計測値を元に圧縮が起きない数値を割り出し、さらにその数値を元に出力を実施して検証し、その上で露光時間とマッチした樹脂の混合比率を求め、さらにその混合比率での出力再現を行う必要があります。このテストに必要な行程すべてを行うには10日間必要なこと、現時点では予想通りに行く保証がないことなどから、将来のテスト課題とすることとし、やはり現状ではサポート材を使用したモデル底部がでこぼこの状態のものを後加工することとしました。
■ さらにトラブル発生
ビルドプレートへの直出力は今回は行わない方針とし、製品用の原型の出力を開始したところ今度は露光は行われるが、高さ0.5ミリほどの薄板が出力されるばかり(Z軸モーターが稼動していない)という状態になってしまいました。いよいよ装置が壊れたのだろうかと3日ほど出力を繰り返しましたが状況に変化はなく、ドライバーソフト含めてすべてをパソコンから削除し、再インストールしたところ通常の出力ができるようになりました。その後もまた露光は行われるが薄板が出力されるだけという状態に戻ってしまったため、ソフトウェアの削除と再インストールを実施して正常化に戻りました。想像ですが、出力が終わった際の装置の終了手順(ソフトウェアとプリンターの接続を切ってからプリンターの電源を切る)が不適切だとソフトウエア上で何か問題が起きてしまうのではないかと思っています。
■ 自作3Dプリンタのフィラメント出力化の準備
製品用の原型と『ポリススピナー』のバランス確認モデルの出力はどれも4から9時間かかる出力で、その間は別の作業を行う事になりますので、その間に次の次の製品に使用する必要がある造形出力サイズ450mmの3Dプリンティングの仕込みを行いました。すでに年末に調達していたGEEETECH製i3Aの骨組みやテーブルを大型化するという方法と、自作未完成の大型3Dプリンタをフィラメント化する方法のどちらが適切かを数日かけて検証したところ、費用的にはどちらも同じだけれど、もともと安い機構パーツの組み合わせでできている『i3A』を改造しても造形精度がでない可能性が高いこと、大型化したテーブルとプリントヘッドの平行を出すのは構造的に困難であることなどから、配線系統の新造と造形テーブルの加熱化などの作業が必要ですが未完成の大型3Dプリンタをフィラメント化するという方針とし、必要な部材をリストアップし発注作業を行いました。
■ ガルバノ式レーザーの3Dプリンタを再度の調査と花粉症
さらに同時進行で販売用製品の製作方法の検討、その後に製作する製品の詳細の検討を行いました。また『D7』3Dプリンターの造形状態に限界があることが判明していますので、現在販売されているガルバノ式レーザーの3Dプリンターの調査を再度行ったところ、海外で『Moai』という15万程度のキット式製品があることが分かりました。しかし出力サイズはさほど大きくなく、また出力の状態は実際に購入してみないと分からないといった感じでした。また国内で評価の高い『Form2』ですが、製品説明の中に造形サイズ140mm?140mmのところ、モデル寸法が100mm?100mmを超える場合、モデルを分割して出力することを推奨します・・・と言った説明がありました。これは140mm?140mmの面にたくさんのモデルを配置して出力することはできるが、1つの固まりとして出力する場合、造形方式の関係で歪みが起きるということなのかもしれません。やはり数百万から数千万の装置でなければ満足な出力は得られないということでしょうか。
また、今年は花粉症が軽くこの調子で行けたらと思っていましたが、先週末より症状が急に重篤になってしまい、例年の通りですが花粉症と合わせて免疫力が低下し一日中微熱があり長時間起きていられないという状態になっています。しばらく生きた心地がしない日々が続きますが、なんとかがんばろうと思っています。
このような状況ですが引き続きお付き合いいただけますよう、何とぞよろしくお願いいたします。
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