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製作進行報告・2018年2月15

前回以降の報告です。

■ D7プリンターの出力上の課題への対応

・前回までにWanhao D7プリンターにおける出力寸法の補正方法をほぼ確認していましたが、今度はD7プリンター導入してまもない頃からの案件だったモデルのサポートがある側の面がでこぼこに造形されてしまうという問題の解決に取り組みました。かなり長くなりますが、以下がご報告となります。

■ モデルのサポートがある側の面がでこぼこに造形されてしまうという問題・・・

 この、サポートとモデルの接地点とその周り、ビルドベースに平行な面がでこぼこに出力さてれしまうという現象ですが、出力するモデルではサポートが接触している部分にも造形があるケースがほとんどですし、造形がなくとも平な部分は平面に、曲面である部分はそのままの奇麗な曲面であるべきです。ですが、なんどテストをしてもビルドプレートに対する逆テーパー個所がでこぼこの出力となり、またモールドが消えてしまっている箇所も見受けられます。

 後処理で対応するとしても作業量が多くなってしまいますし、そもそも出力が美しくないのは間違っている訳ですから、これは今後の出力の上で大きな問題になるという認識の上で原因と解消方法を合計21回の出力テストで探りました。

・出力テストは、まず逆テーパー部とビルドベースに平行な部分がでこぼこになってしまう原因を想定し、それを解決できる方法を考えてテストモデルを配置し、露光関係のいくつもの値を決めて出力テストを実施。3から4時間かけて出力した物を取り出し洗浄しモデルを観察して、想定した原因と対処方法が正しいのかを検証し、ネット上で同時に原因や対策を調べ、その上で次のテスト内容を検討するという流れでおこないました。検証作業と次の出力のプラニングにはけっこう時間がかかり、朝から寝る前まで使っても1日最大3回のテストがやっとで、場合によっては検証と対策のプラン、リサーチで終わってしまう日もありました。

・またネット上でこのような問題について理論的で仕組み解説的な分かりやすい説明がなされていないか時間をかけて調べましたが見つからず、このケースで上がっている『樹脂の粘性』『露光時間』という言葉と、下駄のような形をしたキャリブレーションモデル(適正露光時間を決めるための出力テストモデル)のビルドベースに対して平行な部分にでこぼこが発生しないという現象を元にあれこれ検証しました。

・まずキャリブレーションモデルのビルドベースに対して平行な部分にでこぼこが発生しないという点に注目し、キャリブレーションモデルの平行部は四角い柱に囲まれていて露光時にビルドベースから垂れてくる樹脂を防いでいるのではないかという想定で、モデルの周囲を囲むウォール(壁)を配置してのテストを実施してみましたが『でこぼこ』に変化は無く、次にキャリブレーションモデルにかなり近い寸法で仕切りとなる板状のサポートを配置してのテストを行いましたが、これも結局は板状サポートのスソが表面張力でスソ広がりに山となって造形されてしまうといった状態で、マシにはなりましたが根本的解決になりませんでした。

・次にテストを試みたのが『樹脂の粘性』『露光時間』を元にした物ですが、テストに使ってきたWanhao製樹脂に対して、昨年調達していた粘性がかなり低く先日キャリブレーションに失敗していたMakerjuiceLab(メーカージュース・ラボ)を50%+50%の割合で混合してみるというウルトラ対策でのテストです。

 硬化が得られて長過ぎない露光時間を決めるまで何度も造形不良となりましたが、結果的にでこぼこがやや改善し、問題は『樹脂の粘性』にあるという目算にいたり、それではと先日硬化に失敗していたメーカージュース・ラボ製のレジンだけでの出力テストを行うと『でこぼこ』がほとんど解消されるが露光時間が大変長くなってしまい現実的ではないという状況のため、今度はメーカージュース・ラボのレジンを80%+Wanhao製樹脂を20%といった混合比率でテストしても同様に『でこぼこ』が少ない出力が得られるという事が分かりました。

■ たくさんのテスト出力で分かったこと

・これらのことから、仕組み的には次のような物ではないかという結論にいたりました。まず、モデルの逆テーパー部、ビルドベースに対して(向かって)平行な部分の上にできる空間には、必然的に次の露光時にレジンが乗っている状態となり、その次の露光時の紫外線が露光済みのモデルを透過してしまう。その透過した紫外線がモデルの逆テーパー部、ビルドベースに向かって平行な部分を露光のたびに透過して不要な硬化を行ってしまう。これを防ぐために液層底部のシートからモデルを剥がす行程で、乗ってるレジンを液層内のレジンの流動を使って洗い落とす状況を作り、硬化反応の起きていない新しい液体を取り込む事で不要な硬化を防ぐという仕組みになっている。粘性の高いWanhao製樹脂ではこのレジンの流動を使って洗い落とす行程がうまく働かないため、モデルの逆テーパー部、ビルドベースに向かって平行な部分が激しく『でこぼこ』になってしましまう。これを突き詰めて考えると、粘性は低いが短時間で露光するレジンで、さらに次の露光時の紫外線の透過を押さえるために色の濃いレジンを使用する等が推奨される・・・。結局は紫外線硬化樹脂の性能が出力物のクオリティに大きな影響を与えるという訳ですが、どうしてこういう事がどこにもはっきり書いてくださっていないのか、装置を購入した時点で分かっていたらどんなに助かっただろうか・・とうなだれてしまいました。

■ NanoDLP導入とレジンの調達

・出力物のクオリティは使用するレジンの性能や色に大きく依存することは分かりましたが、『Wanhao D7』プリンタを改良し専用のソフトウェアとコードを使用することでダイナミック・キュアリング(スライスごとに露光長さを調整するなどの細かいセッティングができる機能)が可能な装置として使用している人々が海外・国内で多く見かけるため、あらためて下調べを行い、装置組込みに必要なラズベリーパイという小型マイコンボードも調達しましたが、これを実稼動させるには丸々1ヶ月必要という判断となり導入はしばらく先という判断にいたりました。

・またどのようなレジンが適切なのかという判断基準ができましたので、多くの人が使用しているオーストラリアのMonocure3D(モノキュア3D)製のレジンを調達することとし、メーカーにどのようなモデルを意図しているか伝えると、同社の短時間硬化タイプの黒を勧められ発注。やはり黒色がいいようです。

■『スピナー』3Dモデル修正

・すでに製作していた3Dモデルを出力して全体のバランスを確認したくモデルの1体化を進めてきましたが、前回までにエラーを消す事ができない無限ループ状態に入ってしまっておりました。なんとかならないかとさまざまな方法を試したり、一体化できていないところだけ1から製作しようかとも思いましたが、また無限ループ状態に入ってしまう可能性もあり、すでに上面・下面という2つに分けていたモデルの上面を、さらに3つに分て出力するという妥協案でモデルの1体化の行程を終えることとしました。実際の出力とバランス確認はモノキュア3D製のレジンが到着して、出力が安定してから実施する予定です。

■ モデリングソフトとエラー地獄

・昨年末に新しいバージョンを調達更新していたShade3D Ver.17はモデリングにもかなり慣れましたが、私が造りたい形状のモデル製作ではとにかくモデリング中のエラーが頻発で、モデリング作業の大半をエラー対策に使ってしまっているといった状況で時間損失が大きく、またこれではメンタル的にもキツい状況があるため、このソフトの『CADモード』を一通りテストしてみましたが、機能的にもチュートリアル的にも乏しすぎて現状では展望が見えないという判断となりました。そこでいよいよ『Fusion360』の勉強を始めましたが、こちらは有料であること(ホビーユーザーは生涯無料なのは先日知りました)、Shade3Dとコンソールが違うため使えこなせるかかなり不安で使用を避けていたのですが、Shade3Dのエラー地獄と比べてどれくらい楽な地獄なのか現在勉強をはじめています。

・以上がここ2週間のご報告ですが、昨日と本日は東京国際展示場で開催の工業見本市『3Dプリンティング2018』をリサーチをかねて訪問してきました。工業ユースの3Dプリンティングでは金属素材の3Dプリンティングが業界の主要テーマになっており、それ以外ではフィラメント式プリンタの大型化、ガルバノスキャナレーザ式プリンタの高品位製品などが流れのようでした。さらに会場では韓国の紫外線硬化樹脂メーカーがブースを出していて、展示している出力サンプルモデルの大半を『Wanhao D7』プリンタで行ったと聞きかなり驚きました。いろいろお話を聞かせてもらい『Wanhao D7』はやはり使えると意を強くし、将来注文してテスト出力を行う段取りです。

 それでは引き続きお付き合いいただけますよう、何とぞよろしくお願いいたします。 


▲素晴らしいアイディアと思って試したウォールと間仕切り式サポートは効果はまったくありませんでした。
▲出力不良部分が剥がれてくれたらと期待して購入した超音波洗浄機。そのような効果はありませんでした。