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製作進行報告・2018年1月31日

前回以降の報告です。

■Wanhao D7 3Dプリンターの出力寸法補正

・前回までに縦方向の揺れを防ぐための部品交換を済ませ垂直方向の面の表面平滑を一定程度出す事ができましたので、今度はXYZ軸それぞれの出力寸法の補正を行うために出力テストを繰り返しました。

・寸法補正はスライスとドラーバーソフトである『Cration Workshop』の『ビルドサイズ』で変更すると言われており、メーカーの技術サポートに問い合わせても同様の回答ですが、何度繰り返しても出力寸法に変化が現れず、指摘されている方法は間違っているんだろうという判断の上で、ファームウェアなどからの調整の方法も調べましたが無理のようでした。

・やむをえず最後の手段であるドライバーソフトにあるXYZの値を個別に設定して出力寸法を調整するという方法で出力テストを実施したところ、平面値であるXY方向は容認範囲での出力ができるようになりましたが、縦方向のZ軸が何度やってもモデル寸法より小さくなっているという状態で、何が起きているのかを確認するためにモデル表面に1mmおきの目盛りを付け出力テストを実施しました。

・目盛り付きモデルの出力を確認すると、床直置きのモデルでの出力ではラフト(床面部)に当たる部分は圧縮されてしまい縦方向のZ軸が小さくなってしまうようで、床面以外のところは均一で出力されているのが判明し、出力モデルは空中に浮いた状態で出力しなくてはならないという事が判明。また10mmであるところが9mmとして出力されていますので、単純に%倍して出力テストを行うと、容認範囲での寸法を得ることができ、これで補正方法が確立できました。

 ただ、出力テストは円柱と立方体で行いましたが、立方体を基準にすると円柱はやや大きく出力されてしまう、モデルの底部と上端では寸法が違うなどの特徴があり、そういう要素を念頭にいれて出力プランを考えなくてはならないということのようです。

・さらに今までのテストは『Wanhao D7』純正の紫外線硬化樹脂で行っていましたが、すでに自主製作の3Dプリンタ用に調達していた『Makerjuice Lab』製の紫外線硬化樹脂での出力テストを行ったところ、かなり高めの露光時間を設定したにも関わらず硬化不良で十分なモデルが得られませんでした。このことからすると自主製作の3Dプリンタで硬化物が思うように得られなかった原因は、使用したレジンに原因があった可能性がでてきました。

■販売用製品の開発

・販売用製品の準備は3Dプリンタの出力補正と同時進行で進めていました。『Wanhao D7』プリンタ、『GEEETECH i3 A』プリンタ、それぞれの出力の特徴がやっと分かりましたので、製品の各部分をどのように製作するのかの最終的な判断を行い、3Dプリンタ出力とするモデルの調整、まだ製作できていない部品のモデリング、3Dプリントしない部品の調達プランと発注、エッチングを行うためのいくつかの道具の設計、パッケージや緩衝剤の調達プランなどひとつ一つ対処しました。フィラメント式プリンタの『GEEETECH i3 A』はこの製品では使用しないこととなりました。

・また『Wanhao D7』プリンタの出力補正方法がまとまりましたので、製品原型の出力をはじめようとしましたが、高さ60ミリ程度のモデルを50ミクロン積層で出力するには11時間かかる事が判明し、これは現実的では無いということで100ミクロン積層で原型の出力を始めています。

■『スピナー』3Dモデルの修正

・年始より『ポリススピナー』の上面の3Dデータの一体化を進めてきていますが、残すところキャノピーとボディの一体化という段階でブール演算失敗の無限ループ状態に入ってしまっています。もう少し大きなモデルでしたら部品ごとの出力で問題はないのですが、現在のモデルは小さいため、モデルごとに出力して整形後に合わせるという方法では寸法差がでてしまう可能性があり、バランスを確認するという目的にそぐわないという判断で一体化を試みてきました。ですが方向転換が必要なようです。

■デジタルファブリケーションというもの

・極零細事業における手作業や機械加工に限界を感じ、3Dモデリング、3Dプリンタを使用したデジタルファブリケーションへの移行を進めてきましたが、ソフトウェアと3Dプリンタがあればなんでも簡単にできてしまう訳ではないという現実に直面する毎日を過ごしています。20年ほど前に小型の真空成形器を購入した時も『真空成形器が手に入ればなんでも簡単に製作できる』と思っていたものの、そんな単純な話ではありませんでした。また小型旋盤を調達した時も同じ状況でした。多くの3Dプリンタの取扱説明書が『3Dプリンタ技術はプラグ・アンド・プレイのホビーではありません』(買ってすぐに使えるものではありませんという意味)という言葉から始まってることが身にしみるというものです。

 でも、こういう行程は高額な装置を調達したとしても必要なプロセスで、ソフトウェアや装置を使いこなせてはじめて製品開発を行える土俵に上がる事ができるのでしょう。私の場合は、企画から生産・販売まで一貫して行いたい訳ですから、個々の技術に精通していなくてはいけません。将来、こんな製品を製作してみたい、あんな製品を製作してみたいと思いながらがんばっています。

 それでは引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いいたします。

▲10年ほど前に製作していた紫外線露光ボックスを使って、出力したモデルを硬化しています。
▲出力テストをしたモデルの数々。グレイカラーの実際の成形色がドブ色ぽくてやや困惑しています。